臨床医にとって、症例報告や医学研究が重要であることを
以前に述べました。 池田正行先生が、僕の気持ちを
代弁してくださっています。合わせて、投稿者が応分の費用を負担するオンラインジャーナル増加への潮流を解説なさっています。
強度近視に伴う固定斜視の病態は、筋間膜の弛緩による、眼球後部の上外方筋円錐外への脱臼であるという。この説に基づいて、上直筋-外直筋縫着術が、最近の手術書を飾っている。
最近経験した症例だが、極めて下内斜している眼の反対眼も、正面視時の顔写真ではやや内斜している。CTでもやはり、僚眼も内斜している。優位眼をまっすぐに保つのも困難なのだ。
上直筋-外直筋縫着術を行うと、内斜はやや改善したが、目立つ上斜を生じた。縫着糸を解いて、内直筋後転-外直筋短縮に変更。ところが、内直筋後転のみで、これまでの外転制限が嘘のように解消した。全麻なので眼位はアテにできないところもあるが、術中ここまでで術眼はむしろやや外斜。外直筋短縮をせずに手術を終了した。
術後、術眼の内斜はわずかに残っているが、整容的には著明に改善した。
固定斜視と言っても、症例によって程度は様々であるはず。上直筋-外直筋縫着術というある意味extremeな手術を行ったなら、過剰手術でないか少なくとも術終了前に僚眼の向きと比較して確認しよう。
もう一点、固定斜視は、本当に上外側筋間膜の弛緩が主因だろうか。内直筋の拘縮あるいは攣縮が病態に少なからなぬ影響を与えている可能性を否定できなかった。
遅ればせながら、トーメーのパンクタルプラグFを使ってみました。
おっとっと、こりゃあ良いじゃあないですか。同社の従来品と比較して、リリース前のプラグ形状が細いので、しつこい涙点拡張なしで、スムーズに挿入できます。また、インサーター先端の、プラグを保持するクリップによって、挿入時の埋没を確実に避けられます。初めてスリットランプ下で挿入できました〜。
山梨大学大学院 医学工学総合研究部 分子情報伝達学講座 のウェブサイトで、いくらデータを捏造してもよい学術誌「Journal of Unpublished Science」の構想が!!
一時期でも医学研究に没頭し、良い結果が出ずに悪夢にうなされたことのある方なら見たことがある幻が、ここに具体的な形を持って降臨!!
このサイトの第17話です。
もー笑った。
5ヶ月前に試用した
Zeiss Resightが、やっと配備されました。
今日は網膜前線維症のトリプル手術です。Resight、20Gシステム、眼内内視鏡(とその眼内照明)、IOLはNX-70(アクリルフォールダブル、7mm径)を先入れです。
128Dレンズ(黄色い方)によるワイドフィールドは、IOL挿入下、角膜表面にヒーロンを雑に塗布した条件でも眼底をかなりきれいに見せてくれます。フローティングレンズとは立体感が大きく異なるのは注意。
滋賀医大の大路先生おすすめの、HOYAメニスカスTというフローティングレンズを更に加えても、すっきり感は維持。メニスカスT使用で、角膜上皮乾燥に気を使わなくてよくなるのは利点。このレンズでさらに観察範囲が広がるそうですが、その実感はあまりありませんでした。いずれにしても現状では、周辺硝子体切除と周辺裂孔探しのために、強膜圧迫手技はまだまだ必要と感じました。
広角ですっきり観察できると、やっぱり広く照らせるシャンデリアが欲しくなりました。Resightを入れたまま、片手にカッター、もう一方で強膜圧迫というスタイルも可能になりますしね。
BL社の最新ベンチュリーマシン"S"をデモさせてもらっています。現有機は15年選手のA社"L"で、ボトル高30-50cm、吸引圧100mmHgの、いわゆるスローサージェリー設定を好んでいます。
BL社Sを、まずは2.8mm切開で使用しました。吸引圧250-300mmHg、ボトル高60cmの設定では、どうしてもわずかながらサージが認められます。設定吸引圧は高いのですが、分割後の核片の保持力はそれほどしっかりしていない印象です。
次に、2.4mm切開にして、スリーブを小径のものに変更すると、同設定でもサージが分からなくなりました。まだ物足りないものの、心持ち保持力も改善したような感じ。
エピヌクレウスがガボッと一度に処理できるところとか、ペダル操作への反応が早いとか、核片が散らばらずに集まってくるとか、ベンチュリーの心地良さはあるのですが、術中の眼内圧をできるだけ下げたい気持ちとのジレンマです。メーカーさんと一緒に、もう少しいろいろな設定を試してみます。
かなり核の固い症例でもサーマルバーンがまったく生じないのには感心しました。
細かいところでは、ペダルに足を置いた際、踵の後面が当たる位置にフリンジが設置されているのですが、このフリンジで足の位置が制限されて手前にずらすことができず、ペダルを踏む必要がない時には意識的につま先を持ち上げ続けなければなりません。さもなくばペダルから足を下ろす必要があります。国際仕様でしょうから何ともならないかもしれませんが・・。
大学医局に在籍中、あるいは大学院在籍中には論文を書いていても、市中病院勤務になるととたんに学会発表や論文投稿をしなくなる眼科医が過半数です。ましては開業医ならば、そのような情報発信をしなくなる眼科医の割合はもっと多いでしょう。
第一に、医学の進歩に関連した視点から考えると、理想的には、医師による全ての治療行為の結果は、少なくとも国内全体で共有され、その後に発生する患者の治療方針決定の参考にされるべきです。控え目に言って、珍しい、あるいは興味深い知見は、学会発表などや論文などで公開すべきです。
第二に、医療経済的観点からは、フリーアクセスかつ出来高払いが主の日本の健康保険制度では、満足できなければどんどん病院を渡り歩く患者のみならず、次世代の医学の進歩に積極的に貢献しようと思わない医師もまた、医療資源をただ消費しているだけと表現できないでしょうか。
第三に、医師個人の日常業務に関しての視点では、教科書的知識を超えた経験(成功も失望もあるでしょう)を同業者に知ってもらう喜びは、単調な日々の仕事に強いモチベーションを与えます。
論文は英語でと決めてからは、僕もなかなか採用されなくてトホホですが、まあみんな、学会発表して論文書こうよ。直接的なインセンティブはほとんどないけどね。
Zeiss Resight、27Gツインシャンデリア、Dorcクロージャーバルブ、23G内視鏡で、23G硝子体手術してみました。
やっぱり結膜切開なしでは深い位置の強膜圧迫ができず、Resightでの視野と強膜圧迫で得られる周辺網膜との間に”死角”ができてしまう。小切開硝子体手術でも、強膜圧迫子を潜りこませるための最低限の結膜切開は必要だなあ。
クロージャーバルブは秀逸。眼球虚脱はまったくなし。ただし強膜創からの灌流液の”逃げ”は生じないので、強膜圧迫時に灌流ポートから眼内液を逆流させるため、灌流カニューラ先端辺りの硝子体の丁寧な切除が肝要。
Dorcブライトスターとツインシャンデリアの明るさは、フローティングメニスカスレンズでの内境界膜剥離も可能な程度。フリーになった左手をILM鑷子を持つ右手に添えられるので、より微細な操作を円滑にできるように。
23G内視鏡は、さすがに解像度が足りなめ。広角眼底観察システムで空気還流下の眼底視認性が改善されれば、出番は多少へるかも。
まだまだ”コツ”の発見と手順の整理が必要だ。
それなりの手術件数も経験して、通常の白内障なら何とか完投できるけど、やや難症例になるととたんに行き詰まったり破嚢したりするあなたへ。
以前にも触れましたが、顕微鏡の倍率を高くしてみるのはいかがでしょうか。角膜径がビデオモニタの縦の長さの80%以上になるくらい。そして後からビデオ映像を確認して、角膜が画面からはみ出して見苦しくないくらい。眼球の動きを抑えて顕微鏡にまっすぐに保つことや、シャープなピントを保つこと(もちろん必要に応じて術中にフォーカスを合わせる)が必要になります。
ま、上手な術者は、簡単な症例でもその辺りの事柄を常に実行している訳ですが。
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